探偵 自転車尾行

探偵の尾行には様々なパターンがあります。

基本、尾行は徒歩ですが、調査対象者の動きによっては車やバイクを使うことがあります。

そして、もうひとつ忘れてはいけないのが自転車。

相手が自転車に乗る場合、とうぜん探偵も自転車を使います。

今回は、自転車を使った探偵の尾行についてお話しします。

自転車には自転車を

依頼人からの情報で、対象者が自転車で行動することがわかっている場合、探偵は自転車を用意します。

自転車の対象者を脚で走って尾行しても、いずれ距離を開けられて見失いますね。

かと言って、車で自転車を尾行すれば目立つでしょう。

それに、自転車の速さに合わせてゆっくり走れば、後続車に迷惑をかけますしクラクションを鳴らされるかもしれません。

バイクは車に比べて小回りが利きますが、エンジン音が響くので住宅街などで自転車をつければ不審に思われます。

当然のことですが、自転車には自転車で尾行するのが最適です。

自転車尾行の準備をする探偵

探偵が、浮気調査や素行調査で自転車を使うときの準備について紹介します。

自転車を現場に運ぶ探偵

自転車で、動くことがわかっている対象者の調査は、あらかじめ自転車を用意。

KEN探偵事務所では、近場や1時間以内で行ける距離なら自転車で現場へ向かいます。

逆に、遠方の場合は車に積んで現場へ向かい、自転車を降ろしたら車はコインパーキングへ駐車。

そして、対象者が建物を出て自転車に乗ったら、探偵も自転車で尾行します。

ブレーキ音が鳴らないように整備

自転車メンテナンス

自転車で尾行中は、信号待ちや対象者との距離を開けるときや、坂道を下る時にブレーキをかけることがあります。

そのとき、キー、キー、ブレーキ音が響けば、対象者が振り向くかもしれません。

また、勘のいい相手なら探偵の顔を覚えることもあり得ます。

そのため、KEN探偵事務所では自転車尾行の前に音が出ないよう整備します。

手順としては、まず前輪と後輪どちらのブレーキから音が出ているか確認します。

右側レバーが前輪のブレーキで、左側レバーが後輪ブレーキ。

ブレーキ音が出てる方がわかったら、車輪金属部の外枠に付いている汚れを、中性洗剤を付けたスポンジ等で擦ります。

キー、キー、鳴るブレーキ音はこの汚れが原因。

ちなみに、この車輪金属部外枠を「リム」といいます。

そして、ブレーキ音の原因である汚れの正体は、「シュー」の削りカスです。

シューとは、リムを挟むパーツのこと。

ブレキーレバーを握るとワイヤーを通じて、このシューがリムを挟んでタイヤの回転を止めるわけです。

そのたびに起きる摩擦によって、少しづつシューの削りカスがリムにくっ付いて汚れるのです。

この汚れを取り除いても音が出る場合は、シュー本体面をやすりなどで削って調整。

これでブレーキ音が出なくなるので、探偵は自転車尾行に集中できます。

チェーンも整備

弊社探偵が行う、自転車尾行の音対策はブレーキだけではありません。

「ジャリ、ジャリ」と響かないように、チェーンのメンテナンスも必要。

チェーンが錆びると、異音がします。

錆びてガサガサしたチェーンが歯車と接触するため、変な音が出るのです。

このような、音を出しながら自転車尾行をすれば、ブレーキ音同様に対象者や異変を感じさせるでしょう。

又、音だけの問題ではなく、歯車との摩擦でチェーンが切れる危険もあります。

もしそうなれば、尾行は失敗。

KEN探偵事務所では、チェーンがギーギー異音を出したり切れたりしないように、こまめにオイルをさして整備しています。

パンク対策

当探偵事務所では、自転車のパンクに備え事前に、張込み開始場所に一番近い自転車店を探しておきます。

浮気調査等の尾行は、探偵二人以上で実施するので自転車も二台以上用意。

すべての自転車が、同時にパンクすることはまずありません。

もしも、一台がパンクしても他の探偵が自転車で尾行を続けられます。

ただ、自転車がパンクした探偵も尾行張り込みに、できるだけ早く復帰する必要があります。

そのために、近場の自転車屋さんを確認しておくのです。

ちなみに、今までパンクしたことはありません。

備えあれば憂いなしです。

探偵の自転車尾行事例

KEN探偵事務所が行った自転車尾行の事例を紹介します。

地元でW不倫~妻の浮気調査

夜間自転車尾行

依頼人の50代夫は、残業や接待が多く最終電車で帰宅も珍しくない生活。

夫は、最近専業主婦の妻の態度が冷たくなったことと、夜、仕事先から妻に電話しても出ないことが多いため不信感を持ちました。

そして、KEN探偵事務所へ浮気調査を依頼しました。

自宅が埼玉県の郊外にあるため、普段から妻は自転車で行動しているとのこと。

調査当日弊社探偵は、車に自転車を積んで埼玉県某市へ向かいました。

夕方、対象者宅から徒歩10分ほどのところにある、某ファッションセンターの駐車場に車を駐車。

この調査をした2000年当時、その駐車場は管理人も遮断機もない、誰でも停められる空き地のような状態でした。

弊社探偵は、自転車を降ろして対象者宅へ行き、夜7時から張込みを開始しました。

40分後、妻が自転車で外出。

探偵も自転車で尾行します。

このとき8月でしたが、この時点で完全に日が落ちていていました。

また、埼玉県の郊外で街灯も少ないこともあってあたりは暗く、尾行に気づかれにくいという意味では持ってこいの条件でした。

そして、しばらく自転車を走らせた妻が行きついた場所は、驚くことに探偵が車を駐めている某ファッションセンターのガレージ。

探偵は一瞬「え?」と思いましたが、すぐにここで浮気相手と会うのだろうと察しました。

ここの某ファッションセンターは7時に閉店しており、車は、探偵車両を含めて3台しかありません。

妻はその3台の内、一台のライトバンの前に自転車を止め、そのライトバンの助手席に乗りました。

ここから車でラブホテルの有る場所へ移動する可能性があるので、探偵は自転車をガレージの端に置いて車に乗り込み車尾行の態勢に入ります。

しかし、エンジンはかかっているもののずっとアイドリング状態で、10分経っても30分経っても発車しません。

二人は、車内で不倫をしていたのでした。

人目のない寂しい場所なので、逢瀬には最適の環境です。

1時間30分ほど車中で不貞をした妻は、車を降りると自転車で自宅の方へ戻って行きました。

探偵は、しばらくして車を発進させた浮気相手を、車両尾行して自宅を特定。

自宅の様子から、浮気相手男性は家庭持ちであることが判明。

対象者妻は家庭のある男性とW不倫をしていたのです。

そのあと探偵は、某ファッションセンターの駐車場に戻って自転車を積んで現場を後にしました。

二股をかける彼女の浮気調査

 

駐輪場

依頼人男性は30代自営業者。

外国人の彼女(20代)に浮気の疑念を抱いた男性は、KEN探偵事務所へ調査を依頼しました。

このとき二人は出会ってから半年、依頼人は、その外国人女性と週二回の頻度でデートしていました。

最近、彼女の言う事に不自然なことが多いため、ほかに付き合っている男性がいるのではないかと疑ったのでした。

調査当日、依頼人男性は、昼間対象者女性と新大久保でデートして18時に別れる予定。

探偵二名は、別れたあと女性を尾行して行動を確認し、浮気をしていればその証拠を撮影することが任務。

夕刻に新大久保駅でスタンバイした探偵は、依頼人男性からのメールで、今男性が女性と一緒に入っている喫茶店を確認。

探偵はそちらへ移動して、張込みを開始しました。

20分後、喫茶店を出た依頼人と対象者女性は新大久保駅に入り、山手線ホームで別れます。

依頼人はオフィスがある新宿方面行き電車に、女性は自宅アパートがある日暮里方面行き電車にそれぞれ乗りました。

探偵も乗車して女性をマークします。

依頼人男性の情報で、日暮里にある女性の自宅は駅から徒歩5分とのことでした。

電車が、新大久保のとなりの高田馬場で停車すると、女性は降車して反対側ホームに到着した新宿方面行電車に乗り換えました。

依頼人と別れた後、高田馬場まで来てまた引き返す、あきらかに怪しい行動です。

そのあと、女性は新宿駅で中央線下り電車に乗り換えました。

そして、武蔵小金井駅で降りた女性は駐輪場へ入って行き、止めてあった自転車のロックを外して乗りました。

日暮里に自宅アパートがある彼女が、そこへ帰るように見せかけてUターンして武蔵小金井へ。

しかも、駐輪場に自分の自転車まである。

対象者女性が、日暮里の自宅ではなく武蔵小金井で生活していること明らか。

そして、彼女に自宅を二軒も借りる経済的余裕も必要もないので、誰かと住んでいることになります。

その事実を、恋人である依頼人男性に隠していることから、相手は男性の可能性が一気に高まりました。

駐輪場を出た女性は自転車を走らせます。

探偵は走ってその自転車を追いかけます。

しかし、ドンドン距離を開けられて1㎞走ったところで、相手の自転車は米粒のように小さくなり見えなくなりました。

おそらく、どこかで曲がったのでしょうが、日も落ちて暗かったため何処へ行ったのか見当もつきませんでした。

女性の乗った自転車の色や形を記憶していた探偵が、周辺アパートやマンションの駐輪スペースをチェックしました。

しかし女性の自転車は見つかりませんでした。

依頼人と協議の上、次回の調査日に自転車を用意することになりました。

二回目の調査も、新大久保で対象者と別れた後からの尾行。

当日探偵は、事前に車で自転車を武蔵小金井に運びました。

駐輪場には、対象者女性の自転車が止めてありました。

探偵は自転車を駐輪場に止めた後、車を近くのコインパーキングに入れてから電車で新大久保駅へ行きました。

そして、前回と同じ段取りで尾行を開始。

依頼人男性と別れた女性は、前回同様に高田馬場で引き返し中央線高尾方面行きに乗車。

20分後、武蔵小金井駅で降りた女性は駐輪場へ。

自転車に乗った女性は前回と同じ道を走りました。

探偵も自転車であとを追います。

適当な距離を開けながら尾行するので、気づかれることはありません。

女性は、初回見失ったあたりの道を右折してさらに進みました。

そして、駅から2㎞離れた場所にあるアパートの前に自転車を止めると、一階の103号室の鍵を開けました。

すでに部屋の照明は点いており、女性は外国語で何か(ただいま?)言って中に入りました。

つまり在室者がいたことになります。

依頼者に、電話で状況を伝えた探偵はしばらく張込むことにしました。

それは、女性が新大久保で依頼人と別れる前、夕食を取っていなかったからです。

また、帰りもスーパーに寄っていないので、在室者と外食する可能性があったからでした。

そして、その予測は的中しました。

20分程して女性が男性とアパートから出て来たのです。

ふたりは手を繋いでおり、明らかに恋人同士でした。

10分程歩いた場所にある、ファミレス入ったふたりは夕食を食べました。

そして、食事のあと手を繋いでアパートに戻りました。

女性はこの男性と同棲していたのです。

探偵は依頼人に連絡してからこの日の調査を終了。

パーキングへ行き車に尾行用自転車を積んで撤収しました。

遠距離恋愛~彼女の浮気調査

これは今から13年前、2007年の自転車尾行の事例です。

依頼人30代男性は大阪在住。

東京渋谷区に住む、遠距離恋愛相手に浮気の疑念を感じた依頼人は、KEN探偵事務所へ浮気調査を依頼しました。

対象者女性の自宅は、渋谷駅から1㎞ほど離れた山手通りの側にあるマンション。

依頼人によれば、女性は自転車で渋谷駅まで行き電車移動している。

そして、いつも自転車はスクランブル交差点手前の、マツモトキヨシの脇に止めるとのこと。

女性が自転車を置く場所は判っているものの、スクランブル交差点の近くというのが難点。

女性は動作の速いタイプということなので、自転車を止めたら鍵をかけて早足で駅に向かうことが予想されました。

探偵二人で女性宅から自転車尾行した場合、もしもマツモトキヨシ脇に駐輪スペースが無かったら止める場所を探す間に距離を開けられます。

早足で歩く対象者が、スクランブル交差点の雑踏に紛れたら失尾するでしょう。

そこで、探偵一人が自転車で尾行し、もう一人はマツモトキヨシで待ち伏せする作戦にしました。

調査当日、車に自転車を積んで渋谷のコインパーキングへ駐車。

自転車を降ろしたら、作戦通り一人が自転車で自宅マンションを張込み。

もう一人は徒歩で渋谷駅前のマツモトキヨシへ移動。

1時間後、自転車でマンションを出た女性を、自転車探偵が尾行。

その連絡を受けたマツモトキヨシで待ち伏せしている探偵も臨戦態勢に。

女性は自転車を飛ばし東急文化村横を通り、文化村通りの車道を下って行きあっというまにマツモトキヨシに到着。

予想通り、速攻で自転車を止め鍵を抜くと早足でスクランブル交差点へ。

待機していた探偵が至近距離で尾行。

幸い駐輪スペースがあったので、自転車探偵も出遅れることなく尾行に追いつけました。

女性は、渋谷駅から山手線に乗って原宿で下車。

そのあとラフォーレ原宿で、女友だちと合流しました。

そして15分程店内を見た後、地下鉄で六本木へ移動。

探偵も引き続き尾行します。

会ったのが女性の友人でもこのあと、男性にと会わないという保証はないからです。

このあと二人は2時間ほど六本木のバーで過ごした後、東京ミッドタウンへ移動。

ホテルリッツカールトンのカフェに入りました。

この時点で、対象者女性が男性と会う可能性は低くなりましたが、ゼロではないことと依頼人の希望もあったので探偵は張込みを続行。

約90分後、カフェを出た対象者女性と女友達は六本木駅で解散。

女性は、地下鉄で渋谷駅に戻りマツモトキヨシで自転車に乗ると、文化村通りの上り坂を猛スピードで上っていきました。

そして、男性に会うことなく自宅マンションへ。

探偵二人は、コインパーキングへ行き車に自転車を積んで撤収しました。

余談ですが、この調査の数日後に対象者マンションの近所にあった温泉施設が爆発する事故が起きました。

女性従業員3名が亡くなり、4人以上の重軽傷者が出た大参事でした。

調査で現場を訪れた直後だったので、他人事とは思えないショックを受けたのを覚えています。

事故から17年、あらためて犠牲になられた方のご冥福をお祈りします。

そして、負傷された方にお見舞い申し上げます。