私たち探偵は、年一回「探偵業者立入検査」を受ける義務があります。
その検査を行うのは警察。
東京都であれば各市区町村の警察署が、その管轄内にある探偵事務所を訪れて行います。
今回はこの『探偵業者立入検査』についてお話ししましょう。
出来るだけ、難しい法律用語や専門用語は使わずにわかりやすく説明します。
探偵業者立入検査のねらい
立入検査の目的は、その探偵が法律を守って適切に営業しているかどうかを調べること。
当サイトカテゴリー一覧に『探偵業法』の項目があります。
この立入検査は、その中にある探偵業法第13条に基づいて行われます。
警察は手落ちのないよう予め検査する項目を決めます。
探偵事務所に立入る前に計画を立てる警察
警察は自署が管轄するエリアにある探偵事務所の数や、実際に担当する警察官の人数を考慮しながら計画し検査をおこないます。
具体的にその計画を取り決めるのは、各警察署の署長と生活環境課の課長。
警察署長を知らない人はいないと思うので省いて、なじみのない生活環境課長について説明しましょう。
警察の生活環境課は、拳銃や火薬類など危険物、悪徳詐欺業者や闇金融業者、外国人労働者の雇用関係、売春事案、不法投棄、そしてワシントン条約で決められている絶滅危惧種ペットの販売などを取り締まるセクション。
そこの課長が生活環境課長です。
探偵の立入検査をする警官は誰?
実際に探偵社へ行って立入検査をするのは、署長と生活環境課長が決めた警察官。
二人から、立入検査担当を指名された警察官は一人もしくはペアで探偵社を訪問します。
検査担当に任命されるのはたいてい生活安全課の警察官。
KEN探偵事務所に来る検査担当もずっと生活安全課の警官です。
そしてその警官は、検査の方法や注目すべきチェックポイント、違反への対処などを事前に教育されています。
探偵業者立入検査はいつ?
検査担当の警官は、署長と生活環境課長が作った計画書に定めれた時期に立入検査を行います。
弊社の場合は毎年6月頃。
事前に、担当警官から電話連絡がありスケジュールを決めてから実施。
ただし生活安全課の警官は非常に忙しいため、予定日に管内で事件が起きたりするとドタキャンになることもあります。
弊社の場合も、一度ドタキャンされたことがありましたが警察は事件優先なので仕方ありません。
その場合、改めて予定を調整して立入検査が行われます。
立入検査当日
弊社の場合は、いつも朝9時半頃に来てもらうようにしています。
警察署から徒歩4分と近いこともあり担当警察官は歩いて来社します。
そして制服ではなく私服で来られます。
警察手帳を見る探偵
新しい担当警官の場合まず警察手帳を見せて挨拶します。
『相棒シリーズ』など刑事ドラマでおなじみの、警視庁マークと写真氏名がついたあの手帳を。
ドラマや映画で使われる小道具の警察手帳は黒色ですが本物はこげ茶色です。
探偵事務所側は、経営者もしくは責任者的立場の人間が対応。
そのあと名刺交換をして立入検査へ。
探偵業立入検査の担当警官は3~4年は変わらないので顔見知りになります。
そのため翌年から警察手帳の提示はありません。
探偵業立入検査と家宅捜索はちがう
立入検査は家宅捜索ではありません。
そのため検査担当警官は、まっとうに経営している探偵の仕事に差し障りの無いよう、要らぬ重荷を背負わせないよう教育されています。
これは、検査担当警官が落ち度の無い探偵をしつこく詮索したり、長居して商業活動を邪魔したりすることを防ぐためです。
たとえば、探偵業法で定められた義務事項をすべてクリアしているのに、あれこれ邪推されればその探偵業者はストレスを感じるでしょう。
また、長時間居座られると所長一人で活動してるような探偵事務所の場合、電話の問い合わせにも集中できません。
そうなると探偵は依頼契約を逃すことになり、正当な業務に支障を来すことになります。
警察といえども、立入はあくまでも探偵業法の範囲内に限られ、それと関係ない場所への立入や質問は許されません。
そこが犯罪容疑者への家宅捜索と違うところです。
立入を拒む探偵は罰金刑に
一方探偵の方も、担当警官の正当な立入や質問を拒否したり妨害すればタダでは済みません。
たとえば、『探偵業者立入検査票』の検査事項に基づいたチェックを邪魔をすると、30万円以下の罰金刑に処されます。
法律を守って真面目に営業している探偵であれば、警察のチェックを拒む必要はありません。
ちなみに、この探偵業者立入検査票は一定期間警察内で保管することが義務付けられています。
探偵業者立入検査のチェック項目とは?
東京都内の探偵が何を検査されるのか具体的に説明します。
本当に探偵業務をやっているかどうか
探偵業は届出制で前科等の欠格事項に該当しなければ、誰でも簡単に探偵を名乗れます。
だから、届出をしているだけで営業実態の無い業者が多数いるのも事実。
そのため、担当警官は実際に探偵業務を行っているかをチェックします。
東京都公安委員会の届出内容
法人の場合は会社名、個人経営は事務所名そして住所に変更が無いかチェックされます。
法人は役員の氏名住所に変更があるかどうかも。
もし引越しなどで変更があった場合、速やかに東京都公安委員会へ届け直すことが義務付けられているからです。
探偵スタッフ名簿の常備
探偵の顔写真、住所、氏名、年齢、性別、生年月日、業務内容、入社日を記載した名簿を備えているか確認されます。
退職した探偵の名簿も、退職年月日を記載して3年間保存しなければなりません。
探偵業届出証明書を事務所に掲示してあるか
探偵は東京都公安委員会が発行した探偵業届出証明書を、事務所内の目立つ場所に掲示する義務があります。
それがきちんとなされているかをチェックされます。
探偵スタッフへの現任教育
探偵事務所は、自社探偵スタッフへの教育が義務付けられています。
これは探偵業法を順守して調査業務を実施させるためです。
担当警官はちゃんと教育を行っているか検査します。
弊社の場合、任意書面である『教育計画書』と『教育実施簿』を作成して教育内容を記録しています。
名義貸し
探偵業法は名義貸しを禁止しています。
よって、自社の名義を他人に貸して営業させていないかどうかをチェックされます。
調査結果を犯罪違法行為差別に利用しない書面
契約する前に、依頼人と『調査結果を犯罪違法行為に用いない旨の書面』を交付しているかチェックされます。
これはDV、ストーカー、結婚差別、職業差別などが目的の依頼を排除するためです。
人の権利利益を侵さないための留意と徹底
探偵は、張込みだからといって他人の敷地に勝手に入り込んで対象者を見張ったり、尾行に気付かれているのにつきまとうような行為は許されません。
それは、人に脅威やストレスを与え平穏な日常を侵害する行為だからです。
そのような他人の権利侵害防止に留意し、探偵スタッフにも徹底させているかを確認されます。
秘密を厳守しているか
探偵は調査過程で知った他人の秘密を守る義務があります。
したがって警察などからの正当な協力要請ではない限り、その秘密を漏えいすることは許されません。
これは退職した探偵も同様です。
立入検査をする警官は探偵が情報漏えいしていないか、鍵付きキャビネットやシュレッターなどで不正利用防止に努めているかをチェックします。
調査報告書・ビデオ・写真等不正利用の防止
たとえば調査報告書やメモ、証拠ビデオや写真等の外部漏洩、不正使用防止策を取っているかを確認されます。
契約”前”説明事項の書類交付
探偵業法に定めれられた説明事項を明記した書類を、探偵依頼者間で交付しているかをチェックされます。
契約”締結時”説明事項の書類交付
こちらも業法が定めてた説明事項を、書類交付しているかどうかを担当警官が確認します。
犯罪違法行為利用認識時の対処
調査過程で、依頼人の目的が犯罪や差別違法行為とわかった場合中止することが義務付けられています。
そのため、調査結果が違法利用されたことがあるかどうかと、もしあった場合、法を守って中止したかどうかをチェックされます。
委託の有無
探偵業務は、他の探偵業者への委託を認められています。
しかし探偵業者でない者、つまり届出を出していない者に委託することは禁止されています。
KEN探偵事務所の場合委託自体せずに、すべての依頼案件を自社で行っています。
違反があった場合担当警官はどう動くのか?
探偵業者立入検査の際に違反が発覚した場合、その担当警官は速やかに警察署長か環境課長に報告して支持を仰ぎます。
そして報告を受けた両者のいづれかは、迅速に行政指導、警告、検挙等の措置を講じなければなりません。
違反を犯した探偵は、その内容によって業務停止や廃業命令など行政処分されます。
行政処分された探偵は、東京の場合警視庁のホームページで三年間その処分内容を公表されます。
われわれ探偵業者は、警察からお咎めを受けないよう日ごろから法令順守を忘れてはいけません。
KEN探偵事務所では無料相談を受け付けています。
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